kompan play institute
インクルーシブなあそび
子どもたちは公園や学校などのパブリックスペースで一緒に遊ぶ経験を通じて、社会とつながります。これは、誰もが社会活動に参画できる機会を得られるインクルーシブな社会を実現するために必要なことです。障がいの有無や能力の違いに関わらず、すべての子どもが利用できるあそび場をコンパンと一緒に作りませんか。
インクルーシブなあそび場とは?
インクルーシブなあそび場を作るためには、利用者である子どもたちの障がいやハンディキャップばかりに目を向けるのではなく、それぞれの子どもが何が出来るのかについて考えます。あそび場で一緒に遊ばない子どもたちがいるのは、彼らが抱える身体的な、もしくは知的・精神的な障がいが理由ではなく、「あそび場の環境」が障壁となっているからではないでしょうか。みんなのあそび場は、ハンディキャップの有無に関わらず誰もがアクセスでき、どの子も受け入れられていると感じられる場所でなければなりません。
本当にインクルーシブなあそび場は、ユニバーサルデザインの原則(※)のもとに設計され、身体的な障がいや、一見したところでは分からない発達障がいなどを抱える子どもたちのニーズにも応えられるものです。
ユニバーサルデザインの7つの原則
Equitable use 誰でも公平に使用することができる
Flexibility in use 使用方法の自由度が高い
Simple and intuitive to use 使い方が簡単で分かりやすい
Perceptible information 必要な情報が直感的に理解できる
Tolerance for error 安全で、重大な事故を防ぐことができる
Low physical effort 身体的な負担が少なく、小さな力で使用できる
Size and space for approach and use アクセスしやすく、使いやすいスペース、大きさである
あそび環境に限っては、原則6(身体的な負担の少なさ)は当てはまらない場合もあります。子どもたちの「遊びたい」という気持ちを刺激するスリリングなあそびの多くは、身体的な努力が必要だからです。
※ユニバーサルデザインの原則は、1990年代にRon Maceらのデザイナーによって開発されました。この原則は、できるだけ多くの人が利用できる施設のあり方として、広く認知されています。
インクルーシブなあそび場を考える
注意欠如・多動症(ADHDまたはADD)や自閉スペクトラム症(ASD)などの発達障害を抱える人の数が増えています。ニューロダイバーシティを促進する取り組みが必要です。
インクルーシブなあそび場とは
1.移動
誰でも行き来することができる安全な通路は、インクルーシブなあそび場には欠かせません。通路の幅にはゆとりをもたせ、介助者と一緒に通れるスペースを確保しましょう。車椅子の利用者も含め誰でも安全に移動できるように、通路を舗装することも必要です。
多様な子どもたちが同じあそびをする場所を設計することは現実的ではありません。誰でも何か楽しめるあそびがある、そして一人ひとりの子どもが可能な限り多くのあそびを経験できる場所が、インクルーシブなあそび場だと私たちは考えています。
2.滞在
インクルーシブなあそび場にするために、設計の際に「あそびの多様性」、「あそびのゾーニング」、「休憩スペース」に関して十分に検討し、子どもたちがより長く過ごせように配慮します。休憩用のベンチがあれば、お年寄りから子どもまで誰でも快適に過ごすことができます。移動が困難な人も、あそび場で快適に時間を過ごすことができるでしょう。
3.あそび
インクルーシブなあそび場には、多様なあそびが必要です。様々なあそびのなかでもスリルのあるあそびは不可欠です。障がいの有無や能力の違いを問わず、誰でも遊んでみたいと思うようなスリリングな遊具を加えましょう。他の子どもたちと一緒にできるあそび(社会性を育むあそび)や、プレイパネルや一人で遊べる遊具も取り入れましょう。
無料カタログ
Play For All ーみんなのためのあそび場ー
インクルーシブなあそび場のデザイン原則
インクルーシブ・デザインのチェックリスト
世界の事例
インクルーシブな遊具のご紹介など
「インクルーシブなあそび場づくり」に必要な情報が掲載されています。
デジタルカタログは無料でダウンロードして閲覧することができます。
すべての子どもが使用できるあそび場をつくるには
3つのポイント(移動、滞在、あそび)に適切な配慮が施されたあそび場は、身体的な障害だけではなく、見た目では分からない発達障害などを抱える子どもたちにとっても、使いやすい場所になります。
注意欠陥・多動症や自閉スペクトラム症を抱え、一度に多くの情報を処理することが困難な子どもたちをサポートするために、あそび場の入り口に分かりやすい案内図や標識を設置する、入り口近辺にベンチなどを設置し、座ってあそび場の地図を確認できるようにするなどを検討します。活発なあそびのゾーンや、静かに落ち着いて遊べるゾーン、休憩スペースなど、異なる性質のエリアを示すルート表示も有効です。さらに、異なる性質のエリアを示す境界を表現します。色のコントラストを利用したり異なる素材を配置したりすることで、境界をはっきりさせます。子どもたちが特定のゾーンを見つけること、避けることが容易になります。
視覚障害のある利用者には、点字での案内や、あそびのゾーンごとに異なる素材で舗装するなどの配慮が必要です。
コンパン・プレイインスティテュートの研究
あそびの専門研究機関であるコンパン・プレイインスティテュートでは、多様な子どもたちの声を聞き、研究を行ってきました。
プレイインスティテュートは、あそび場における子どもやその家族・同伴者について調査し、より良い遊具やあそび環境の開発に取り組んでいます。専門知識を有する学者や研究者で構成されており、この研究はコンパンの遊具の製品開発に不可欠なものとなっています。
すべての子どもがあそび場にアクセスできる社会を
「公平性」は、国連の持続可能な開発目標 (SDGs) を理解する上で大切な考え方のひとつです。人々が健康で幸福な生活を送るために、持続可能な地域社会を築くために、「公平性」は不可欠です。残念なことに、あそび場やレジャー施設を見てみると、あそびの機会やあそび場にアクセスする機会は、必ずしも平等とは言えません。障がいのある子どもたちは、同世代の他の子どもたちに比べて、体を動かすあそびや運動に参加する機会が圧倒的に少ないのです。子どもの健康のためには、体を動かすことが必須です。障がいの有無や、能力の違いに関係なく、すべての子どもが公共のあそび場にアクセスでき、そのあそび場が利用しやすいものであることは、子どもたちの健康と幸せの基本なのです。